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ZENSUIブログ

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熱中症対策の新常識 ー「前腕冷却」が注目される理由ー

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<はじめに>

近年、猛暑による熱中症リスクの高まりを受け、作業現場や工場、物流、建設現場などでは、より効果的な暑熱対策が求められています。
その中でも近年注目されているのが「前腕冷却」です。

前腕には、体内の熱を効率よく放散するための特殊な血管が多く存在しています。この部位を適切な温度の冷水で冷却すると、冷えた血液が体内を循環し、深部体温の上昇を効率よく抑えることができます。

深部体温は熱中症と密接な関係があり、体温が上昇し続けると、疲労感や集中力の低下だけでなく、重篤な熱中症へとつながる危険性があります。そのため、表面だけを冷やすのではなく、深部体温の上昇を抑えることが重要です。

実際に、2020年に発表された研究では、高温環境下で運動後に15分間の前腕冷却を実施した結果、深部体温、平均皮膚温、心拍数、生理的負担指数(PSI)が有意に低下することが確認されています。また、暑さの感じ方(温熱感)や快適性も改善され、短時間の休憩でも身体への熱ストレスを軽減できることが報告されています。

従来の熱中症対策は、水分補給や空調服、スポットクーラーなどが中心でした。しかし近年では、「身体に蓄積した熱を効率よく放散する」という考え方が重要視されており、その手段として前腕冷却が多くの現場で導入され始めています。
短時間の休憩時間を有効に活用し、身体への負担を軽減する前腕冷却は、これからの暑熱対策における新しいスタンダードとして期待されています。

 

<前腕冷却の科学的な有用性>

前腕冷却は、暑熱環境下における身体への熱ストレスを軽減する方法として、国内外の研究でその有効性が報告されています。

2020年に『Journal of Thermal Biology』へ掲載された中村博士(協力アドバイザーとして弊社製品を監修いただきました。)方々の研究では、気温35℃・湿度約60%の暑熱環境下で深部体温を約38.5℃まで上昇させた後、前腕を10℃の冷水へ15分間浸漬する試験が実施されました。比較対象は、「前腕冷却のみ」「アイススラリー摂取のみ」「両方を組み合わせた冷却」「冷却なし」の4条件です。

その結果、前腕冷却を実施した条件では、冷却を行わなかった条件と比較して、

 深部体温(直腸温)の低下
 平均皮膚温の低下
 心拍数の低下
 生理的負担指数(Physiological Strain Index:PSI)の低下
 暑さの感じ方(温熱感)の改善
 快適性の向上

が確認されました。

以下は論文でのグラフをリメイクしたものです。




A.15分間の介入中における心拍数の変化 グラフ⇩


①平常時③前腕冷却を比較すると開始3分で約20拍/分の差が生じております。
それ以降は同じように下降していき、開始15分後には③前腕冷却は98拍/分程になりました。
運動後や高温環境では心拍数は高い状態が続きやすいため、15分間の前腕冷却だけで約3割も心拍数が低下したことは、
循環器系への負担が大きく軽減されたことを示す非常に良好な結果と考えられます。

③前腕冷却開始からわずか3分で、心拍数は約23%低下しました。
心拍数が大きく低下したことは、身体に蓄積した熱の放散が促進され、3分の短時間循環器系への負担軽減につながった可能性を示しています。



B.15分間の介入中における前腕皮膚温の変化 グラフ⇩



当然ながら、③前腕冷却の皮膚温は①平常時と比べると開始3分で18℃程低下しております。
その後は緩やかに低下が継続し、開始15分後には14℃程になりました。
しっかりと前腕を冷却出来ている事が確認できます。


 

C.15分間の介入中における平均皮膚温の変化 グラフ⇩



平均皮膚温は 胸部 上腕 前腕 大腿 下腿 の5か所を対象としております。
①平常時③前腕冷却を比較すると開始3分で約1℃程差が生じ、その後③前腕冷却は比較的早いペースで皮膚温を下げており、開始15分で約2℃低下しました。

②アイススラリー飲用は開始15分で約1℃皮膚温を下げており、前腕冷却よりはの効果が出ていないことが分かります。
③前腕冷却により平均皮膚温が低下したことは、体表から効率的に熱が放散されたことを示しています。

開始3分で①平常時は皮膚温度が上昇しており、②アイススラリー飲用はほとんど変化がありませんので、3分の短時間でも③前腕冷却を行うことで平均皮膚温を低下方向に誘導できると言えます。

平均皮膚温が2℃低下することは、身体全体から効率よく熱が放散されたことを示す重要な指標です。
皮膚温が下がることで心臓への負担が軽減され、暑さによる生理的ストレスも低下します。実際に研究では、平均皮膚温の低下とともに心拍数や生理的負担指数(PSI)が有意に改善され、暑さの感じ方や快適性も向上することが報告されています。


研究では、前腕には熱交換に重要な役割を担う動静脈吻合(AVA)が多く存在しており、前腕を冷却することで冷えた血液が体内へ戻り、深部体温の上昇を抑えることが、この効果の一因であると考察されています。

-参考文献-

Nakamura D., Muraishi K., Hasegawa H., Yasumatsu M., Takahashi H.(2020)「Effect of a cooling strategy combining forearm water immersion and a low dose of ice slurry ingestion on physiological response and subsequent exercise performance in the heat」Journal of Thermal Biology, Vol.89, 102530.

※本記事の内容は、中村博士方々(2020)が『Journal of Thermal Biology』に発表した研究結果を参考にしています。実験条件は気温35℃・湿度約60%の環境下で実施されたものであり、すべての環境・条件において同様の結果を保証するものではありません。 

 

D.クールステーションを使用した際の腋窩体温の変化⇩



社内にて「前腕冷却クールステーション」を用いて試験したデータでは最初の1分の変化が最も大きく、それ以降は比較的緩やかに体温が下がることが確認できました。
腋窩温(一般的な脇の下での深部体温)で計測しております。

深部体温は体温調節機構によって厳密に維持されているため短時間で1℃低下することは非常に大きな冷却効果を示します。
一般的に深部体温は短時間では大きく変化しにくく、1℃の低下は身体に蓄積した熱を効率よく放散できたことを示す結果と考えられます。




E.クールステーションを活用した、熱中症対策イメージ⇩


運用方法としましては、上記グラフのように 体温上昇➡前腕冷却 を適度に繰り返していただくイメージとなります。
スポーツ医学や暑熱生理学では、深部体温が約38.5℃を超えると

 心拍数の増加
 暑さの自覚の増加
 生理的負担の増加
 持久的な運動能力の低下


などが現れやすくなることが知られています。そのため、多くの研究では38.5℃を冷却介入の開始点として設定しています。

 

この体温を目途にお客様に運用していただくケースが多いです。

実際に運用いただくシチュエーションは異なりますので、各現場にあった運用方法をお客様にて模索していただき、
熱中症予防として弊社製品をお役立ていただけますと幸いです。

 

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